St. Laurentius

一度作って公開せず放置して来たここを、突然書く気が起きたので人目に晒そうと思う。 

例によって建築訪問紀。

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St. Laurentiusというこの教会。設計者はEmil SteffannとSiegfried Östreicherというドイツ人の建築家、建てられたのは1950年代。

ミュンヘンで自分が住んでいる、Olympiaparkという場所の近くにあるプロテスタントの教会。11月にスイスにいる先輩がスタジオのエクスカーションでミュンヘンに来た時に一緒に訪れたのだけれど、公園をサイクリングしたついでに再訪してみた。

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外観はレンガ造であることを前面に出しているけれど、内観はレンガを塗りで仕上げてあり(不勉強なので仕上げの名前が分からない)素材感が消されて、あと天井もプレーンで全体的にとてもミニマルな印象。

空間は切妻断面で平(ひら)面が長い長方形平面で、平(ひら)面の壁面の中心に円形にすこし膨らんだ場所があり、そこに祭壇がある構成。

教会で切妻の断面形っていうと妻面方向に祭壇があることが多いから、初めて来たときは空間が予想していた向きと全く違った意外性で頭がいっぱいだったけど、この教会がプロテスタントの教会であることを考えるといろいろ納得がいって、空間の方向性を消去するというか、むしろあえて慣習にのとってそれを生み出して裏切るっていう仕掛けがいくつかあることに気付く。

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例えばパイプオルガンが祭壇を見て右手、切り妻断面の長方形の空間の端にある。普通の妻面方向に祭壇がある教会ならこの位置で正しいけど、パイプオルガンは通常祭壇の正反対にあるからこの場合少しおかしかったり。

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祭壇と反対方向にある、主空間に入る前の前室みたいな空間は妻面方向に見ると、普通の教会の側廊にみえなくもなかったり。

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あと別の細かい話で、高窓の開閉のための取手は、ペンダントライトと同じように細い線が垂直に伸びている要素として処理されていて、ミニマルな空間の中で要素を増やさない工夫がされていたり。

などなど時間を置いて同じ場所を訪れるといろいろ気付くこともあるという気付き。設計者の意図とかを文章で読んだわけではないから、全て邪推だけど。

ここはまた来よう。いつになるか分からないけどブログもまた気が向いたら書こう。

 

 (おまけ、入口の扉の取手がとてもかわいい)

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